読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1992年7月発行 広報よみたん / 9頁

【見出し】まゆからどうやって絹糸をとるの? 【写真:交わりばんこに絹糸を巻きあげる:2000メートルの絹糸がとれました】糸とりに歓声 思いやりの心が芽生える

 -蚕まゆから絹糸が取れるという不思議な事実を見せてあげたい-。
と読谷保育所(島袋フジエ所長)では、蚕の飼育と、蚕のまゆからの糸取りまでの体験学習を行なっている。これは「自然の不思議さ、人間の力(技術)、飼育栽培や園外保育を通して自然に親しむ機会を多くし、科学の芽を育てる」ことを保育活動の一環として三年前から取り組まれているもの。
 今回の糸取りは、六月八日午前に行なわれました。糸取りに先立ち全園児を前に山内敏子主任がこれまで学習してきたことを確認。
「これは何?」-「まゆ~!」
「これは?」-「かいこ~!」
「蚕は、卵から何になる?」-
「毛蚕になる~!」
「何を食べて育った?」-
「桑の葉を食べて育った~!」
と、全園児が自信に満ちた大きな声ではきはきと回答。経験学習、飼育観察の成果が如実に表れていました。

  糸とりに歓声

 糸取りには、大城慧子さん(波平区)を招き技法の学習。まゆをお湯で煮たて、ゆうなの葉でまゆから絹糸を起こしていく様子に園児らは不思議そうに眺め「うわ~すご~い」などと声を発し、一人びとりが絹糸の感触を確かめ嬉しそう。また、ザグリと呼ばれる糸取り機では、かわりばんこにクルクルと糸取り機を回しての巻き上げ作業。みるみるうちに真っ白な絹糸が巻かれていく様子にどの園児も大はしゃぎ。なかにはしびれをきらし「はやく~はやく~」と矢の催促をする園児も。
 四月から自ら蚕(約三千匹)を育て、自分達の手で糸取りを体験した子供たち。蚕がまゆを作るしぐさを見て感動を覚えていたという。

思いやりの
 心が芽生える

 島袋所長や山内主任保母らは「文化(花織)の伝承として三年前から蚕の飼育に取り組みを開始した。飼育には園児らの父母も、餌である桑の葉を方々捜し回って保育所に届けるなど協力してもらっている。なかには親子のふれあい、コミュニケーションを深めるためにと蚕を分けてもらい、自宅で飼育し、親子で競争をして自慢し合っている家族もいる。蚕を育て観察をしていく中で子供たちには、生命の大切さや思いやりの心が育まれ、みんなの協調性が芽生えてきた。実際に育て、観ることによって文字の読めない二歳児たちも蚕の絵本を手にするようになりました」と、体験学習の成果を語っていました。
 この日にとれた絹糸は約二千㍍。純白に輝く絹糸はふく木で金色に染め、読谷山花織に用いられて美しい着物に生まれ変わる。園児たちが作った絹を大人が織り、そして、花織になる。読谷保育所では、このような絹糸ができる不思議さを紙芝居にして記録。それが今では『とんとんからりとんからり』という絵本にまでなって、園児たちから人気を集め愛読されているという。何とも素晴らしいことではないでしょうか。

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