体長はオスで三~七センチメートル、メスで二・五~四センチメートル、体の大きさが個体によってずいぶん違います。全身黒色で、オスは大きなあごをもっています。成虫の出現時期は四月から十二月、沖縄でもっとも多く見られるクワガタムシです。村内でも林に近い公園や人家周辺などで普通に見られます。
昼間は木の皮の下や根元の土の中にもぐっていますが、夜間にエサとなる樹液や交尾相手を見つけるため活発に動き回ります。樹液が好きで、タブノキやアカメガシワ、シークァーサーなどの樹液をなめに集まってきます。灯りにもよく飛んできますので、市街地でも近くに林があれば、公園や民家の灯りの下で見つかることがあります。灯りに来るのはおもにメスや小型のオスです。メスは朽ちた倒木や切り株などに産卵し、幼虫はその中で育ち、成虫になって出てくるのは二年後です。ヒラタクワガタの成虫は長生きで一年くらいは生きます。飼育すると二年以上も生きることがあります。
沖縄県にはヒラタクワガタの三亜種がいて、沖縄島とその周辺の島にオキナワヒラタクワガタ、八重山にサキシマヒラタクワガタ、南北大東島にダイトウヒラタクワガタがそれぞれ分布しています。
文:県立美咲養護学校 嵩原建二
写真:沖縄県農業研究センター 小浜継雄